2022年(令和4年)の4月から、アスベストの事前調査結果報告の電子申請を行うことが義務付けられました。

弊社では、それに対応するため石綿含有建材調査者の資格を取得し用意していました。

工事前に石綿含有建材を含む建物の事前調査を行った後に電子申請を行い、工事を着工するといった流れを一貫して自社で行えるようにしています。

屋根工事業なので、屋根工事業者からの視点で石綿事前調査の流れをご説明します。

工場ではスレート屋根が多く使われているので、よく事前調査の質問をされます。

その質問の解答をまとめてみました。

 

石綿事前調査が必要な工事や建物は?

建物の竣工日 2006年(平成18年9月)以前の建物

屋根や壁など、対象の面積の合計が80㎡以上

請負金額の合計が100万円以上(消費税を含む)の工事は必要。

例:2006年9月以前の建物で、スレート1枚交換の工事でも、足場等の付帯工事との合計で100万円(税込み)を越えてしまった場合は、事前調査が必要。

事前調査の資格は?

2023年(令和5年)10月からは石綿含有建材調査者の資格が必要。

それまでは、石綿作業主任者等、アスベストの知識のある者が行うことが可能。

建築物石綿含有建材調査者講習修了証明書

建築物石綿含有建材調査者講習修了証明書

石綿含有建材調査者の資格を持っていない場合は調査会社へ依頼すると事前調査が可能です。

事前調査結果はいつまでに必要?

いつまでかは決まっていないが、あらかじめ事前調査を行うこととなっているので、工事の1週間前くらいには行うことが望ましいと思います。

電子申請は事前調査結果を元に申請を行います。

事前調査の範囲は、改修工事の場合はどうなる?

改修工事の場合は、その工事箇所の事前調査を行い、電子申請を行います。

例:スレート屋根工事の場合、屋根のみの改修工事が多いため、建物全体の事前調査ではなく、工事を行う屋根の面積を事前調査します。

アスベスト電子申請

赤枠部分の事前調査と電子申請

アスベスト含有の有無は、建物の年代から含有調査せず、目視でみなし含有として報告することもできます。

事前調査結果の保管は?

事前調査の保管は解体等工事終了後3年間保存しなければなりません。

アスベストレベル3でも届出は必要なのか?

レベル1等の吹付けアスベストのように届出は必要ではありません。

しかし、作業開始前に作業計画書の作成や事前調査の実施、電子申請は必要です。

作業計画に記載する事項

〇特定工事の発注者の氏名又は名称及び住所並び法人であってはその代表者氏名

〇特定工事の場所

〇特定粉じん排出等作業の実施期間

〇対象特定建築材料の種類並びにその使用箇所及び使用面積

〇特定粉じん排出等作業の方法

〇対象となる建築物等の概要(構造・階数・延べ面積等)・配置図及び付近の状況

〇特定粉じん排出等作業の工程を明示した特定工事の工程の概要

〇特定工事を施工する者の現場責任者の氏名及び連絡場所

〇下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の現場責任者の氏名及び連絡場所

事前調査結果、作業の掲示板の掲示は必要?

現場に事前調査結果の掲示が必要で掲示板の大きさも決まっており、A3サイズ以上となります。

設置場所は、公衆の見やすい場所に作業の開始前に掲示します。

事前調査結果の掲示例

事前調査結果の掲示例

スレート撤去の工事中、スレートの湿潤化は必要?

電子申請の欄に、湿潤化のチェック項目があります。

スレート工事中に水散布で湿潤化することは、水で滑るなどの作業に危険が生じるため、固化材で湿潤化しています。スレートの剥がし前や、カバールーフ工事の前に固化材で表面の毛羽立ったアスベストを湿潤化させています。

固化材によるスレート湿潤化

固化材によるスレート湿潤化

以上です。また、質問等が増えましたら追加していこうと思います。